認定NPO法人ACEは、2016年1月に特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)が主催するNGO組織強化大賞「女性スタッフの登用・活躍部門賞」を受賞されました。
 今回はその取組みについて紹介します。

~きっかけは、管理職の産休・育休体験から~
 以前から産休・育休制度は導入していましたが、産休・育休を実際に取得した職員に対するサポート体制は十分整っているとは言い難い状況でした。当初は職員数が少なかったため、それでも何とかやってこられました。
 しかし、人数が10名以上と増えてきたことや当団体は約9割が女性職員で、産休・育休を取得する年齢層が多いため、子育てをしながら安心して働き続けて欲しいという思いから、今回管理職である私(事務局長 白木 朋子。以下、同様)が実際に産休・育休を取得するタイミングに合わせて、組織の意識改革や制度導入を実施しました。

~女性スタッフの登用・活躍をめざした取組み~
 さて、当団体が産休・育休取得前から職場復帰までのプロセスにおいて整えた制度や取組みについてご紹介します。

 ① 「学習する組織」をつくるための相互理解の促進
 実は私より5カ月前に代表岩附の第二子出産があり、代表と事務局長がたて続けに休みをとることがわかっていたため、組織としてトップが不在でも機能する体制を作る必要がありました。そのために導入したのが「学習する組織」という考え方です。代表が産休に入る4カ月前から7カ月間、合計5回にわたり職員全員が参加する研修(1泊2日の合宿を含む)を行いました。研修では「Strength Finder」を用いて、個々の強みや特性、思考のクセをお互いに理解したり、「システム思考」や「U理論」についても学んだりしました。また自分や相手のニーズを探り、「自分のありたい姿」と「組織のありたい姿」を導き出しました。結果として職員同士の相互理解が深まり、質の高いコミュニケーションが取れるようになりました。そして「ありたい姿」を具体化するためにワークプランシートという新しいツールを導入し、人員配置や業務分担、出張や在宅勤務の頻度の希望などを把握することで、安心して長く働ける環境づくりにもつなげることができました。

 ② 管理業務の権限移譲
 管理職が不在の時も業務が推進できるように、管理者の業務を職員へ振り分ける取り組みを実施しました。今までは代表と事務局長が中心となって各事業の業務を管理する体制でしたが、業務別にチーフを決めて、職員に権限を委譲しました。
 本取組みを実行する過程で事務局長の業務を可視化することもでき、今では管理者がいなくても個々が主体的に行動できるようになり、職員で業務が推進できる体制が整ってきていると思います。

 ③ 在宅勤務制度の導入
 通勤時間の負荷を軽減するため、在宅勤務制度を導入しました。SkypeやOffice365を導入して、在宅やモバイル環境でもコミュニケーションや情報共有がしやすい環境を整備しました。管理職である私も週に2〜3日は在宅勤務をしています。
 ただ、Skypeを利用して会議はできますが、職場で顔を合わせて会話をしているわけではないので、特に管理者としては職員の健康状態等を把握しづらいなどの課題は感じています。

~取組みにおいて苦労した点~
 前述した相互理解のための研修や合宿を行った時期は業務の繁忙期でしたので、時間の確保には苦労しました。職員からは、締切り日が近い業務に追われている中、「なぜこの時期にしなければいけないのか?」という声もあり、初めは研修を実施する意図が十分に伝わっていないと感じました。しかし、回数を重ねる中で、徐々に取組みに対する理解を得られたと思います。

~取組みの成功要因~
 個人が何かを犠牲にするのではなく、それぞれの良いところを活かすことで、組織は成り立つものだと考えています。
 今まではお互いに考えていることや自分の性格について深く話す機会はありませんでしたが、研修や合宿を通じて、相互の理解が深まったことがとても大きかったと思います。相手を理解することの大切さを知り、自分の考えを安心して積極的に発信できる環境が整ったことで、個々が向き合い、組織の理想の姿を共有できたのではないかと感じています。

~事業に与えた影響~
 1人1人が判断することが増えたことで、自主的に動けるようになり、個々がこなせる仕事量が増加し、仕事の質も向上しました。
 講演の機会も、職員に担当してもらうことで増えたと思います。

file2
(事務局長の白木 朋子さんと経理・総務チーフの坂口 志保さん)

~国際協力の分野で活躍しようとしている方、活躍されている方へのメッセージ~
 国際協力の現場や一般企業において、女性がトップになることが少ないのは、働く時間に制約があるというイメージがあるからだと思います。
 当団体の場合は、代表と事務局長が同一年度内に産休育休を取得したのですが、実は組織としては過去最高額の収入を達成することができました。チーム力の結晶です。女性の仕事復帰の制度を整えたり、権限移譲や職場で相互にサポートし合える体制を整えたりすることで、女性が育児をしながら管理職として働くことができると証明できたのではないでしょうか。
 私も子育てをしながら管理職に復帰しましたが、大変だと感じることはまだまだ沢山ありますので、社会全体として働く女性をサポートする制度の整備が必要だと思います。
 また、働く女性自身も壁にぶつかることはあると思いますが、そこで諦めずに常に出来る方法を探すことが大切です。
 是非、女性がもっと管理職としても活躍できる社会を実現していきましょう。